最近多い「サ高住」「サ付き」とは一体何のことでしょうか?

自分の親や配偶者もしくは自分自身が、高齢になり生活に不便が出てきて介護の必要性を感じてきた、ヘルパーさんなどに来てもらったりしたけど、お風呂とかトイレとか段差とか家の作り的にも無理がある・・・ そんなとき「老人ホームのほうがいいのだろうか」というように考えはじめます。そう思って調べてみると、あまりにもたくさんの種類があり、聞いたこともないような物も出てくるので面食らいます。最近増えている「サービス付き高齢者向け住宅」、略して「サ高住」「サ付き」 これなどはわけのわからない分類の典型例でしょう。

特別養護老人ホームとサービス付き高齢者向け住宅の違い

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老人ホームには目的や対象者に応じていろいろな種類があるのですが、日本社内の中で一番有名で、おそらく我々がまっさきに思い浮かべるものが「特別養護老人ホーム」略して特養です。
特別養護老人ホームは公営の施設で、昭和38年に原型ができてから60年近い時間をかけて、何度もあった制度変更を受けて変化し現在の姿になりました。要介護3以上の方が入居し、社会福祉的な役割を大きく持ち、入居費用が安く、手厚い介護を受けられますが、生活の自由度といったものが考慮されているわけではありません。全国に6500ヶ所以上の施設があるのですが、それでも37万人もの人が入居待ちで、その待ち時間は1年から5年にも及びます。
要介護3というのは食事や入力や排泄が自分でできないというぐらいになります。年をとってちょっと体が不自由になったというあたりではありません。要介護3だと痴呆症を併発している場合も多く、ヘルパーに来てもらったり、自宅をバリアフリー改装していたとしても、介護される側もする側もすでに相当な負担がかかっています。

特別養護老人ホームはこれはこれで非常に大切な施設なのですが、そこまでではない状態のもっと軽い要介護の程度だったり、自立(金銭や扶養的な意味ではなく食事や着替えやトイレなどの生活動作が自分でできるという意味)可能な人にとって、もっと便利で多様なライフスタイルに対応した施設を、民間が提供するというようになっていきました。その民間サービスの中の一つが「サービス付き高齢者向け住宅」というわけです。

サービス付き高齢者向け住宅と住宅型有料老人ホームの違い

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民間の提供する「老人ホーム」はサービス付き高齢者向け住宅だけではなくて、下記のようなものがあります。

  • 介護付き有料老人ホーム
  • 住宅型有料老人ホーム
  • 健康型有料老人ホーム
  • サービス付き高齢者向け住宅

上のものほど要介護度が高く、下のものほど要介護度が低いのですが、介護付き有料老人ホームは特別養護老人ホームの民間運営版というもので、健康型有料老人ホームはまだ数が少ないので、ここでは住宅型有料老人ホームとサービス付き高齢者向け住宅を比較してみます。

どちらも自立した状態(もしくは軽度の要介護)の高齢者を対象とした居住施設で、どちらも施設のスタッフが介護サービスを提供するのではなく、外部の介護サービスを入居者一人ひとりが個別に契約して受けるようになっています。
違うのは生活の自由度と、介護度が重くなった時の対応です。住宅型有料老人ホームは食事や入浴の時間がある程度決まっており外出にも制限がありますが、サービス付き高齢者向け住宅は好きなときに食事や入浴や外出ができます。そして、住宅型有料老人ホームは介護度が重くなっても住み続けられるように設備やスタッフが揃っていますが、サービス付き高齢者向け住宅は介護度が重くなると退去の可能性があります。

サービス付き高齢者向け住宅の特徴

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サービス付き高齢者向け住宅は「高齢者が住み慣れた地域で自分らしく暮らし続けられることを実現する地域包括ケアシステムの一環」として2011年に創設されたものですが、どのような施策にもそれが生まれた背景というものがあります。特別養護老人ホームでいえば1980年代に要介護状態の高齢者の受け皿がなく病院で事実上の介護をしている社会的入院が問題になったことや、要介護の必要性の高い人から特別養護老人ホームに入居できるようにしたら要介護の軽い段階の人があぶれたので、住宅型有料老人ホームが生まれたなどです。
サービス付き高齢者向け住宅でいうと、高齢であることを理由に賃貸住宅に入居できなかったり契約更新を拒否されるという事実がありました。また軽度の介護をするにしてもバリアフリーであったりトイレや浴室が対応していたり、見守り用のセンサーが設置されているなどの設備面での対応が必要ですが、それも賃貸住宅では難しいところがあります。
そのため、高齢者だからという理由で契約できなかったり更新できなくすることを「高齢者住まい法」で禁じ、またその反対給付として補助金を出し、バリアフリー等に対応した住宅を建造するという政策が取られました。

そのような経緯であるために、サービス付き高齢者向け住宅はあくまで賃貸住宅であり、入居時に敷金を払い家賃を払って住む形になります。賃貸住宅なので連帯保証人や身元引受人を必要とされる場合があります。施設ではあるのですが住み方は自由で、食事や入浴や外出を好きなときにできるというのは自分で借りている家であるためです。
そして、あくまで賃貸住宅を、高齢者の生活や軽度の介護に対応させて拡張させたものなので、特別養護老人ホームのような専用の介護施設でしか対応できないような状態になると住み続けられるとは限らないという限界があります。

しかし、高齢者や要介護と言ってもひとりひとりの生活や状態はさまざまなので、この制度も現実に合わせて拡張され、要介護5や認知症のある方の受け入れ可能な介護型がでてきて、従来のものは一般型となりました。しかし介護型になると介護付き有料老人ホームとあまり変わらなくなってくるので、分類が非常にややこしくなっています。

サービス付き高齢者向け住宅のメリット・デメリット

メリット

  • 高齢者であることを理由に入居を拒否されない
  • バリアフリー構造
  • 住宅の供給数が多い
  • 生活の自由度が高い
  • 在宅で契約していたケアマネージャが継続可能
  • 入居や退去が比較的簡単

デメリット

  • 一般的な賃貸住宅よりも家賃が高い
  • 看護師の配置義務がなく、常駐してないところが多い
  • 有料老人ホームと比べて夜間の見守り体制が希薄
  • 施設によって提供されるサービスの質や内容が異なる
  • 要介護度が高くなると住み続けることが難しくなる

提供される設備やサービス

サービス付き高齢者向け住宅は成立した経緯もあり、歴史も浅く、設備やサービスの均一化という意味では劣っています。その分だけ自由度が高い(多様なライフスタイルに対応できる)という言い方もできるのですが、これはなかなか難しいところです。
基本的には居室の広さは25m2以上と定められ、バリアフリー構造となっており、見守りセンサーや緊急通報装置が設定されています。夫婦(法的な夫婦に限らない)の同居が前提となっている施設も多いです。
スタッフは医療・介護の有資格者で、少なくとも日中は常駐します。夜間は緊急通報システムにより対応するところが多いです。
共有施設は施設によって大きく異なり、リビングやレストラン、温泉施設、カラオケルーム、シアタールームなどが設置されているものもありますし、まったくないものもあります。
訪問介護やデイサービスなどの介護保険サービス事務所が併設されているところも多いのですが、必ずそうだというわけではないです。

費用

一般型の初期費用は敷金として数十万円程度で礼金や更新料は不要です。月額利用料は家賃と共益費として5万円〜25万円ほどで食費や光熱費は含まれません。
介護型だと初期費用は数百万円以上になり、月額費用も15万円以上程度にはなります。